SWDシリーズコンセプトノート:第2回「SWD-10 シリーズへの思い(前編)」

【今回のサマリー】


  • コンポーネントスタイルへのこだわる理由
  • ハイレゾ・オーディオの入門として考えられる3種の神器的な製品をつくる
  • 成長するコンポーネントとして、中長期的なロードマップをもっての製品開発をしていく

【コンポーネントスタイルへこだわる理由】

SWD シリーズはハイレゾ音源等を楽しむために必要最低限の機器からスタートでき、使われる方が後 から機器を買い足していくことで音のグレードを上げていけるコンポーネントスタイルで立ち上げることが 決定しました。
これをふまえて、具体的なシリーズの構成(製品ラインナップ)は、以下の要素を満たすことを条件に検討されました。

・ハイレゾ音源の再生には PC を使用するケースが多い
→PC 周辺に無理なく置けるサイズであること。
最終的には CD ジャケットとほぼ同サイズ(幅 146mm×奥行 165mm)に決定
・必要最低限の機器でハイレゾ音源を楽しめる
→USB DAC+ヘッドホンがあれば手軽にハイレゾ体験ができる
・後から必要に応じて機器を買い足しながら再生環境をグレードアップできること
→スピーカーでハイレゾ音源を楽しめる
・ハイレゾだけでなく CD音源も高音質で楽しめること
→PC環境がなくてもハイファイを楽しめる
・更に機器を追加することでワンランク上の音作りを作り込めること
→お客様にとっての製品のライフタイムバリューを長く

そこで、私たちはまず USB DAC(SWD-DA10)、CD トランスポート(SWD-CT10)、パワーアンプ (SWD-TA10)の 3 機種のラインナップで SWD シリーズを立ち上げることにしました。
これら 3 機種があれば、ハイレゾ音源をヘッドホンでもスピーカーでも聴くことができ、更にお手持ちの CD コレク ションも高音質で楽しむことができると考えたからです。
(下の画像はフロントパネルの着せ替えの例)

また、3 機種発売後のロードマップとして、更なるラインナップの追加も想定していました。
クロックジェネレーターやパワーサプライといった音質を向上させる機種、ヘッドホンでのリスニングに特化して設計 したヘッドホンアンプがそれにあたります。(これらの機種については別の記事でご紹介させていただきます。)
これらの機種を後から追加発売することを念頭に置いて、各機種の仕様を決定していったのです。
ただ単にコンパクトサイズであるだけでなく、使われる方が少しずつ音質をアップグレードできるラインナップであ ってこそ本シリーズの価値があると考えました。

【まずハイレゾコンポーネントの3種の神器をリリース!】

こうして SWD シリーズ最初のラインナップとして 2014 年に発売した 3 機種について、各機種の特長をご紹介します。(前編で SWD-DA10 を、後編で SWD-CT10、SWD-TA10 をご紹介します。)

『USB D/A コンバーター「SWD-DA10」

当社の考えとして DAC では特別な音づくりをせずに出来る限り原音のままストレートに出力することを心が けて開発を進めました。

また、当時入手可能だったハイレゾ音源に漏れなく対応できるよう、リニア PCM は 192kHz/32bit、DSD は 5.6MHz に対応することは当然として、本機では入力したリニア PCM 音源のサンプリングレート(周波 数)を自動でアップコンバートして出力する機能も搭載しました。
例えば CD 音源(44.1kHz)が入力された場合には整数倍(3 倍)である 176.4kHz に、48kHz のハイレゾ 音源であれば同様に 192kHz に自動的にアップコンバートして出力する、という仕様です。
より高精細な音を 手軽にお楽しみいただけるように、との思いからこの仕様を取り入れました。
余談ですが、DA10 の発売後に頂いたお客様のご意見も参考に、後継機種にあたる SWD-DA20 ではアッ プサンプリング機能をより自由度の高い仕様に見直しました。
私たちが考えていた以上に、お客様はオーディオに様々な楽しみ方を求められていたのだと実感しました。
具体的な変更内容など詳細については別の機会にご紹介します。
次に入力端子について、PC との接続に必要な USB 入力はもちろん、CD トランスポートなどのデジタル機器との接続を想定して同軸(COAXIAL)や光(OPTICAL)入力、更にポータブルオーディオプレーヤーやCDプレーヤーと接続できるアナログ入力(LINE)も備えました。
様々な機器と DA10 を接続しておいて、その時に聴きたい音源をワンタッチで切り替えて手軽にお楽しみいただけるよう、本体フロントパネルに各入力の切り替えスイッチを設けてあります。
これによって、DA10 をオーディオセットの中心に据えられる機器と位置付けることができました。

デスクトップという再生環境では、スピーカーだけでなくヘッドホンでのリスニングも想定されます。
手軽にハイレゾ 体験を始めていただく為にも、SWD-DA10 にヘッドホンアンプ機能を盛り込むことは自然な流れでした。
当社はヘッドホンメーカーでもありますので、音響用 OP アンプは妥協せず納得いくものを選定し採用しました。
サウンドチューニングには SW-HP10s(当時は SW-HP10)など当社オリジナルヘッドホンだけでなく、海外ブランドの 中級~高級レベルにあたるヘッドホンも使用しました。
こうして作られた音は、後半でご紹介する SWD-TA10 の真空管バッファを通った柔らかく暖かみのあるサウンドとは異なり、硬質でモニターライクなサウンドとなっています。
音源やジャンル、お好みによって使い分けていただくことも楽しみ方の一つです。

成長するコンポーネントという思い】

更に、私たちはデジタルオーディオをアップグレートする要素として「クロック同期」を本シリーズで実現できないかと考えました。
単品のクロックジェネレーターというと高価なものが多く、そもそもクロック入力を備えた機器自体、特にSWDシリーズで想定した価格帯にはほとんどない状態でした。

それを実現してこそ本シリーズで掲げたコンセ プトに近付くと考えた私たちは、本機と同時発売したCDトランスポート/SWD-CT10 に外部クロック入力端子を追加することにしました。
これは、SWDシリーズで後にクロックジェネレーターをリリースすることも含めた決定であり、本シリーズでご提案するオーディオの楽しみ方を具現化する為にも重要な決断でした。 以下、後編に続く。

第3回(後編)へ続く

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