SW-HP&SW-HSコンセプトノート:第1回「ヘッドホンとヘッドセットの始まりの話」

今回のサマリ


・ヘッドホンの始まり50年前で、米国音響機器メーカーの下請けからスタート
・ヘッドセットは、ドライブスルー用として採用されて世界へ!
・ヘッドホンは、CDショップの試聴用として全国へ!


【始まりは教育用ヘッドホン】

当社のヘッドホン製作は、今から50年近く前の1970年代に遡ります。 ブランドストーリーにも記しましたが、当時、電線製造業を営んでいた当社は、米国に電線の輸出をしており、その納入先の教育音響メーカーからの要望がきっかけでした。
当時米国では テープレコーダーとヘッドホンを使ったグループ教育が盛んで、これに使うヘッドホンの下請け生産の要望がはじまりで、米国の技術者の指導で、ヘッドホンの製造をスタートします。
その時に強調されたのは、教育現場、それも子供が使うものだからとにかく頑丈であることが重要ということ。

その後、レコードプレイヤー等の製造も請け負い、技術力も徐々に高まり、相手先から のデザイン指示だけで製品製造ができる力が付いていきます。(弊社がその頃にOEMで手掛けた製品とLL式の教育システム)

70年代後半、それまでの高度経済成長からドルショック・オイルショックへと時代は大きく変化、輸出は不安定になり必然的に海外から国内へ客先シフトをしていくことになりました。
音響機器、とりわけ業務系ヘッドホン、ヘッドセット(マイク付き)が当社の主要製品となり、80年代初頭からは大手電気メーカー(松下通信、ソニー、ビクター等)へのOEMが始まりました。
’80年、’90年代 と米国輸出を続けながら、様々な音響機器開発・製造をこなす会社になっていきました。

【ドライブスルー用のヘッドセットが世界へ】

この中で特出できる事例は、 90年に入った頃の松下通信からマクドナルドのドライブスルーで使われるヘッドセットの開発です。
要望は「使用開始から3ヶ月の保証を!」。

それまで不特定多者が使う教育用ヘッドホン・ヘッドセットを手掛けていた当社は、強度や音響的明瞭度などにおいてかなりの自信を持っていましたが、この要望には大きな落とし穴がありました。

バーガーショップでは、動物性油脂の粒子が充満しており、一般のプラスチック樹脂では1ヶ月程で割れてしまう現象が多発していたのです。
そのため従来のプラスチック樹脂ではないナイロン素材による筐体を新規開発しました(下はそのドライブスルー用に開発された長寿命型ヘッドセット)

更に、国内と比較して海外の方の設備備品の扱いはかなり手荒で、ケーブルの引っ張り強度は教育機器の数倍のレベル(教育機器でさえ一般品の5倍以上の 強度だったのだが…)を要求されたり、他にも電波によるノイズ問題など、多くの課題をクリアするために開発期間に二年という期間を要しました。
結果、この悪条件でも一年保証を実現。これらの課題をクリアした商品は松下経由で全世界のマクドナルド・ドライブスルーに設置され大変大きなビジネスに成長します。
その後、本技術を基礎として作られた通信用ヘッドセットが、世界の放送局やホール、スポーツイベント等で使われるようになりました。

【ヘッドホンは大手CDショップの試聴用機材として全国へ!】

ヘッドホンはヘッドセット開発と並行しながら、レコーディングスタジオやホール、美術館・博物館等でのモニターヘッドホンとして採用が進みました。

そしてCD販売隆盛の頃、CD試聴機用ヘッドホンとしてツタヤに採用されました。
そのご要望は 「壊れない、パットが破けないヘッドホン。
また、頭に付けた瞬間から数十秒間に大きなインパクトを残せる音づくりを!」というもの。
悪戦苦闘の末なんとか採用いただき、大変喜ばれました。実はこの製品が現在のSW-HP10sにつながっていきます(下はツタヤの店頭のCD試聴とそのヘッドホン)

このように現場で育てられ、強度以外に音響特性や数字に現れない響きや音色などの様々なご要望を解決しつつ、現在のSound Warriorのヘッドホンに繋がっています。
当社のヘッドホンは、これまでの当社の歴史の中に見られる通り、業務用・プロ現場で育てられ、品質の安定性や長寿命、機能的であることを第一に考えて作っています。
更に、言葉に表しづらい音響的な微妙なこだわりにも愚直に応えることが最大の特徴です。
これが当社の音響商品が国内生産にこだわる大きな理由でもあります。
規模が小さな企業ですから、きらびやかで派手な装いをまとった商品を次々に発売することは出来ません。
しかし、当社の門から送り出された商品は、自分たちが心から納得した物だけ。
それは当社オリジナルブランドだけでなく、OEM・ODMで送り出す商品にまで繋がる思いです。
このような思いをご理解いただけるお客様に当社の商品をお届けし、一緒に音への思いに共感していただけることが、私たちの最大の喜びです。

第2回へ続く

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