堀内詩織さん:プロフィール YUNO INTERIOR DESIGN (ユノ インテリア デザイン)主宰 1986年 新潟県生まれ。長野県在住。高校を卒業後、カナダへ留学。帰国後は、ホテルのフロントとして勤務。 ホテル在職中に、インテリアコーディネーターの資格を取得し、転職。 地元ビルダー、大手ハウスメーカーで、インテリアコーディネーターとして勤務した後、 2018年1月、「YUNO Interior Design」を設立。 戸建住宅、マンションなどの住空間だけでなく、サロン、展示場、ショールームなどの商空間も手掛ける。
WEB:http://yuno-interior.design/
【 堀内さんのインテリアに対する考えをお聞きしました】
ーホテルのお仕事をしていたのに、インテリアデザイナーを目指したきっかけをお聞かせください。
ホテルの仕事って、場所と時間の制約があるんですよね。まずホテルにずっと居なきゃいけないですし、勤務時間も24時間のなかで、遅番だったり早番だったりと多様なシフトがあり大変でした。だから、自分で、働く場所、一緒に働く人、働くことを采配できる仕事ってなんだろ?とおもって探して一人で働いてる方が多い、この仕事に決めました。
ーそうなんですね。ちなみにインテリア・デザインをやっていく上で、ホテルでの業務経験ってやっぱり生かされてらっしゃいますか?
個人的には、すごく生きていると思います。言葉使いもそうですし、お客様にたいする気の配り方だったりと、ビジネスのベースみたいな部分はもちろんですし、ホテルの客室は、すごく限られたスペースのなかで、寝る場所、仕事する場所、くつろぐ場所という形で凝縮されてますよね。なので、そういうスペースの使い方は、自分のなかで参考になっていると思います。
ーホテルの方の接客とかはすごく丁寧ですしビジネスマナーとしても、それは心強いですね! ー最近のお仕事について、お聞きしたいのですが、どういうお仕事が中心ですか?
施主さんから直接のオーダーももちろんありますが、ハウジングメーカーや工務店から依頼をうけることが多いです。
ー 要望とかリクエストで多いのはどういったことでしょうか? 今は、家での癒やしを求められる、お客様がおおいですね。最近は平屋のリクエストも多いので、ハウジングメーカーの依頼で平屋で縁側があるモデルハウスのインテリアを担当しました。 住む人のイメージとして、お子さんが家を出て、これからまた夫婦ふたりの暮らしが始まるというセカンドライフの方と、これからお子さんが小学校にあがるという、未就学児童がお一人いらっしゃるような方をイメージし、家を仕様や性能といったスペックだけで見せるのではなく、暮らしのプラスアルファとして、余暇の時間の楽しみかたを感じられるように考えました。
ーそれは、サザエさんでおなじみのような昭和的な平屋住宅なんでしょうか? いえ、造りや間取りは従来の和の平屋をベースにしているのですが、全体的にモノトーンを基調としたシックなデザインにし、いわいる和モダンというわれる形です。(以下の画像)
ー特にこだわったところはありますか?
担当した平屋には、縁側がついてましたので、縁側のスペースを黒くしつらえ、そこにかかる深いヒサシのもと、雨でも屋外に出て庭を眺められるようにしました。そこでは、たとえば夕飯ができるのをまちながら、縁側でイカを七輪で焼きながらいっぱい飲めるような雰囲気をご提案しました。
ーそれは最高です、うらやましい!!夏にスイカを食べるのもいいですよね。
縁側でスイカいいですよね!私も好きです(笑) 今は、やっぱり機能・性能というスペックで売る家というよりも、仕事とプライベートを切り分け、家では自分が過ごしたい時間を心地よく過ごせることに重きを置いたデザインが、主流になっていると思います。
ー今のお話だと、想定している2つの世代のお客様を重ねるのが難しく感じるのですが、そこはどう融合されたんでしょうか?
細かなテイストとか好みは、もちろん違うと思うんですけど、未就学児童とか小学校低学年の児童が居るご家族は、まだ親とお子さんが、ひと部屋で一緒に寝たり過ごしたりすることが、ほとんどなんですよね。だから子ども部屋とか無くていいんです。その後、中学生、高校生と子供が育つとともに子供部屋が必要になりますが、やがてその子供が出ていくと、もとの未就学児童のころの部屋割に近づくんです。だから、実は、この2つの世代は近しいんですよね。
ーなるほど! ーちなみに、セカンドライフ世代の方は、昭和世代になると思うんですが、やはり畳の部屋のリクエストは多いでしょうか?
ありますね。
ー若い人たちはどうですか?
未就学児童だと、お昼寝させたりとか、洗濯物を畳んだりとか、やはり床座ができる場所をもとめられるので、和室というより畳のスペースという要望は多いです。
ーたしかに、床座ができる場所がないと、家事とかでも、何かと不便ですものね。僕は、未就学児童と同じように畳の部屋で昼寝するのが好きで、最高にリラックスできるというのは昼寝できるってことだったりします(笑)
お昼寝いいですよね(笑)。じっさい忙しい家事の合間に、お母さんがちょっと一休みというのもありますしね。
【インテリアとオーディオの関係についてお聞きしました】
ー堀内さんのお客様でオーディオをインテリアの要素としてリクエストされる方っていらっしゃいますか? 私のお客様は、主に30代前半〜40代前半ぐらいなのですが、私の個人的な所感の範囲で言えば、いらっしゃらないですね。 ーその理由ってやっぱり予算的に?それともそもそも興味がないのか、どっちなんでしょうか? 子育て世代なので、ゆっくりオーディオ楽しむ時間を持てる方がすくないんだとおもいます。 でもシーンと一緒に説明すると、すごく反応良くて導入することもあります。
ーそれは、どういう内容なんですか?
テレビの音をキッチンでも聞こえるようにするために、キッチンのダウンライトにBluetoothスピーカー付きの照明を採用して、Bluetoothでテレビと接続、テレビの音をキッチンでも聞こえるようにしました。これは、私自身が子育てしている母親として実感していることですけど、キッチンで家事をしている時って、リビングのテレビが見えてたりするんですけど、音は、ほとんど聞こえないんですよね。 だからニュースとか天気予報とか、見えてるのに内容がわからなくて困るんです。またテレビだけでなくて、仕事から帰ってきて夕飯の支度をするときとか、気分を上げてかかりたい時があるんですけど、そういうときにはスマホをBluetoothでつないで、好きな音楽を聞きながら家事をします。そんな生活の中のシーンが見えるように提案すると、施主さんにも共感していただけて導入していただくことが多いです。
ーあーわかります。うちのかみさんも、好きな曲かけて、気分を上げて家事やってますね。つまりオーディオ機器っていう「モノ」ではなくて、生活のシーンとして実感できる効果がわかる「コト」としての提案なんですね。
そうです。シーンと言う見える形のコトを提案するのが大事だと思っています(後編に続く)